• セキュリティポリシー
  • プライバシーポリシー
  • コンプライアンス宣言
  • 利用規約

© 2026 DIG DA TECH.

実績

Works

大手カーシェアサービス車両の巡回管理を支える AI DX取組事例・実績

大手カーシェアサービス車両の巡回管理を支える メール自動取込AIシステム

カテゴリ: 業務自動化・DX / AIエージェント / メールインテグレーション クライアント: 大手カーシェアサービスの全国車両の運営・巡回管理を担う事業領域 技術タグ: Next.js ・ Supabase ・ Gmail API ・ IMAP ・ RLS

大手カーシェアサービス車両の巡回管理 メール自動取込AIシステム


全国に展開する大手カーシェアサービスでは、膨大な台数の車両を「巡回・点検する」オペレーションが日々動いています。その現場では、カーシェアサービスから届く予約・返却の通知メール(関東だけで月3万件規模)と、エリアごとに形式の異なるExcelの巡回進捗表を、人がひとつひとつ突き合わせて管理していました。

返却証メールを支店別フォルダへ手で振り分け、「空予約(実際には使われていない予約)」を目視で判定し、巡回の進捗を表計算で追う——という人海戦術が常態化。やがて受信箱が件数上限(10万件)に達してメールがバウンスし、約1.4〜2.5万件のメールが復元不能になるという、業務データ欠損の事故まで発生していました。長年動いていたがゆえに限界が見えにくかった仕組みが、件数の増加とともに静かに崩れはじめていたのです。

本プロジェクトでは、このメールを起点とするオペレーション全体を自動化しました。メールを受信し、解析し、構造化してデータベースへ取り込み、異常を自動検知し、エリア権限に応じたダッシュボードへ集約する。要件定義から設計・実装、そして緊急の障害復旧までを一貫して担当し、件数に依存せず、データを落とさない業務基盤へと刷新しています。

主な技術スタック

  • フロントエンド: Next.js(v0ベース)/TypeScript
  • バックエンド/データ: Supabase(PostgreSQL)+ RLS(Row Level Security)
  • メール連携: IMAP(関西)/Gmail API(関東・北海道:Google Workspace、サービスアカウント+ドメイン全体委任)
  • バッチ: cron による定期取込
  • データ取込: SheetJS(xlsx)による進捗表インポート
  • デプロイ: Vercel

本PJについて

課題の解決

業務の起点が「人がメールを読んで振り分ける」ことにあり、件数の増加に運用が追いつかず、ついには受信箱の上限超過でデータ欠損まで招いていました。メールの受信から構造化・判定・可視化までを自動パイプライン化し、人手の介在をなくすことで、件数がいくら増えても破綻しない運用へと作り替えました。

成果

障害で滞留・取りこぼしていた計26,701件のメールをリパースで救済し、受信箱の容量逼迫を構造的に解消。手作業だった空予約判定と支店別振り分けをダッシュボードへ集約し、二度と同じ事故を起こさないための監視・自動リカバリも実装しました。

技術的ハイライト

マルチソースを1本に束ねる取込パイプライン

関西はロリポップの IMAP、関東・北海道は Google Workspace の Gmail API(サービスアカウント+ドメイン全体委任)と、異なる受信経路をひとつのパイプラインに統合しました。cron で定期取得し、メッセージIDで重複取込を防止。取り込んだメールは生の本文を保持したまま「未処理 / 処理済み / エラー / スキップ / 無視」のステータスで管理し、パースに失敗しても後から再処理できる「壊れにくい」設計にしています。

件名ベースの種別判定とパーサ

予約登録完了・予約変更完了・予約確認・返却確認・返却証といった複数のメール種別を件名から判定し、それぞれ専用ロジックで構造化。車両情報は正規表現で「地名・分類番号・かな・一連番号・色」まで分解し、扱いやすいデータへ正規化します。運用中に新たに見つかった未対応種別(車両利用不可通知など)も、業務影響度に応じて取り込み要否を整理し、柔軟に拡張できるようにしています。

メールが流れるだけで育つ車両マスタ

CSVインポートのような初期登録作業を不要にし、メール処理時にナンバープレートをキーとして車両を upsert。メールが流れるだけで車両マスタが自動的に育っていく仕組みにしました。台数が増えても、人がマスタを保守する必要はありません。

空予約の自動検知(業務品質の可視化)

「返却証メールにアンケート案内が含まれているか」を判定キーに、実利用のない予約(空予約)を自動でフラグ付け。確信度(高・中・低)と判定理由を添えて記録し、これまで目視に頼っていた判断をシステムへ置き換えました。走行距離0kmなどの補助条件も切り替え可能なルールエンジンとして実装しています。

インターバル違反アラートと統合管理

車両ごとの巡回間隔をチェックし、規定の日数を割り込んだ場合にアラートを生成。空予約とインターバル違反を単一のアラート基盤に統合し、種別ごとの詳細を jsonb で柔軟に持たせることで、後からの拡張に強い構造にしています。

エリアベースのアクセス制御(RBAC × RLS)

管理者・エリアマネージャー・スタッフの3ロールを定義し、ユーザーと営業所の多対多リレーションをもとに、PostgreSQL の RLS で「担当エリアの車両・メールしか見えない」アクセス制御をデータベースレベルで実現。全国の支店・営業所を1つのシステムで、安全に一元管理します。

バラバラなExcel進捗表の統一取込

関東(フルネーム・シート名で巡目を判定)と関西(姓のみ・日付列で巡目を判定)で形式の異なる進捗表を、ヘッダー自動検出で読み取り、統一フォーマットへ吸収。ナンバーの全角/半角やスペースの揺れを自動正規化し、未登録のナンバーは新規車両として自動登録、同姓担当者の取り違えもプレビューで検知できるようにしています。

障害復旧と恒久対策

受信箱の容量逼迫という根本原因に対し、取込済みメールの自動削除で構造的に解消。あわせて「使用率80%超で自動通知」「取込失敗の監視」「取込漏れの定期自動リカバリ」を実装し、二度と同じ事故が起きない運用へと作り替えました。

経営者目線のメリット

  • 人海戦術からの脱却: メールの目視振り分け・空予約の手判定・Excelの突合といった属人的な作業を撤廃。件数が増えても、人を増やさずに回る運用へ。
  • データ欠損リスクの恒久排除: 受信箱あふれによる業務データの消失は、実績や売上計上の正確性に直結する経営リスク。これを技術で根絶し、再発防止の監視まで備えました。
  • 業務品質の見える化: 空予約検知やインターバル違反アラートにより、「巡回が本当に行われているか」「予約が実態を伴っているか」を定量的に把握できます。
  • 全国オペレーションの一元管理: エリア権限を保ったまま、全国の支店・営業所を1つのダッシュボードで掌握。現場・エリア責任者・本部が、それぞれ必要な範囲だけを見られます。
  • スケールする土台: エリア・営業所・車両が増えても、RLSとマルチエリア設計でそのまま拡張できます。

総括

「メールを人が読んで捌く」という、長年動いていたがゆえに限界が見えにくかったオペレーション。本プロジェクトは、それを受信から判定・可視化まで自動化し、件数に依存しない・データを落とさない業務基盤へと刷新した事例です。大手カーシェアサービスの全国規模の車両管理という、決して止められない現場の裏側を、自動化とAIで静かに支えています。

既存業務に潜む「人間の判断・仕分けのボトルネック」を、いかにシステムへ肩代わりさせるか——DigDaTechのものづくりの思想を体現するプロジェクトです。